再度、緊急事態宣言される状況下、今一度 手洗いには目をやりましょう。
過去に、
MRSA や多剤耐性緑膿菌などの病原微生物が原因となる病院感染が問題となり、
医療機関においても新型コロナウイルスなどの感染症対策の充実がますます必要となっています。
病原微生物は、医療従事者の手指を介して伝播していくことが判明しているため、
病院感染対策上、正しい手洗いの遵守は非常に重要視されています。
また、手洗いには
日常的手洗い、
衛生的手洗い、
手術時手洗いの 3 種類があり、その目的に応じて使い分ける必要があり、
一般の人にも応用できる事があるのです。
感染対策で必要な衛生的手洗いと手術時手洗いについて手洗いの種類とは。
日常的手洗い⇒食事の前後やトイレの後など日常の介護において行う、石けんと流水を用いた手洗い。
衛生的手洗い⇒患者のケアなどの医療行為の前後に行う、消毒薬と流水又は、アルコール擦式製剤を用いた手洗い。
手術時手洗い⇒手術の前に行う消毒薬と流水やアルコール擦式製剤を組み合わせた厳重な手洗い。
手洗い方法から見た手洗いの分類
スワブ法:(清拭法)⇒ 消毒薬を染み込ませた綿球やガーゼで拭き取る方法。
消毒薬をたっぷりと浸すことが重要であり、
皮膚と消毒薬が一定時間以上接触している必要がある。
スクラブ法:(洗浄法)⇒ 洗浄剤を配合した手洗い用消毒薬を使ってよく泡立てて擦った後、
流水で洗い流す方法。洗浄と消毒が同時に行える。
ラビング法:(擦式法)⇒アルコール擦式製剤を手掌にとり、
乾燥するまで擦り込んで消毒する方法。
特別な手洗い設備を必要としないため、簡便に手洗いができる。
手荒れについて⇒手洗いのコンプライアンスを下げる要因として頻回の手洗いによる手荒れが挙げられます。
しかも、手荒れ部位では、
健康な皮膚と比べ、ブドウ球菌やグラム陰性菌が頻繁に付着しています。
手洗い直後では手指付着菌数に差はないものの、
時間が経過すると、
手荒れのある手指では有意に菌数が多くなるとの報告があるため、
手荒れは病院感染対策上、重大な問題なのです。
手荒れの原因は様々ありますが、
手荒れが生じにくい手洗い法の選択や、
スキンケアとしてハンドクリームやハンドローションの使用など、
手荒れ予防に積極的に取り組むことが非常に大切です。
医療従事者の手荒れの原因と対策
1) 温水の使用や皮膚の乾燥。
2) 2)ブラッシングなどによる物理的な刺激。
3) 3)石けんや界面活性剤の繰り返し使用。
4) 4)消毒薬や手袋によるアレルギー → → → → ハンドクリームの使。用
5) ブラシを使用しないまたは柔らかいブラシや スポンジの使用 。
保湿剤を含むアルコール擦式製剤を使用する薬剤の変更。
衛生的手洗いの目的
衛生的手洗いは主に患者のケアの前後に行う手洗いで、
手指に付着する通過菌を極力除去することを目的としています。
病院感染対策上、衛生的手洗いの遵守は大変重要です。
従来、衛生的手洗いは石けんと流水による手洗いが推奨されていました。
しかしながら、
石けんと流水による手洗いを有効としている報告の多くが、
30 秒~1 分間の手洗いによる研究を根拠としているのに対し、
実際医療従事者の方が行っている石けんと流水による手洗いの時間は
7~10 秒以内と短いこと、
また、石けんと流水による手洗いは、
設備の不足や手洗い場までのアクセスの不便さなど、
多忙な医療現場で遵守するには困難であることなどが分かりました。
これに対してアルコール擦式製剤は、
特別な設備を必要としないため手洗いに要する時間を短縮でき、
なおかつ手指消毒効果も高く、皮膚刺激も少ないことから、
医療従事者の受け入れが良いことが分った。
このような背景から、『医療現場における手指衛生のためのガイドライン』では、
現在では国内においても、アルコール擦式製剤による手洗いが主流となっています。
実際、アルコール擦式製剤の有効性は多数報告されており、
アルコール擦式製剤の使用量が増えたことにより、
MRSA の発生数が減少したとの報告があるようです。
しかし、石けんと流水での手洗いが否定されたわけではなく、
このガイドラインの中でも、
手が目に見えて汚れているときは石けんと流水で手を洗うとされています。
衛生的手洗いに用いる消毒薬衛生的手洗いは、
患者のケアの前後など頻回に行う必要があるため、
使用するアルコール擦式製剤は、
十分な殺菌効果に加えて、
手荒れ予防に配慮するなど、
医療従事者に受け入れられやすい製剤が選ばれています。
現在、国内では衛生的手洗い用のアルコール擦式製剤として、
アルコール擦式製剤使用量、エタノール製剤(液状製剤・ゲル状製剤)、 0.2%ベンザルコニウム塩化物・エタノール製剤(液状製剤・ゲル状製剤)、0.2%クロルヘキシジングルコン酸塩・エタノール製剤(液状製剤・ゲル状製剤) 、0.5%ポビドンヨード・エタノール製剤(液状製剤)
アルコール擦式製剤は、現在、液状製剤とゲル状製剤が使用されています。
従来、アルコール擦式製剤は、 液状製剤が主流でしたが、
液の飛散やこぼれ落ちにより、壁や床が汚れるといった問題点があり、
最近では、 ゲル状製剤も使われています。
ゲル状製剤は、液状製剤に比べ殺菌効果が劣るという報告がありますが、
一方で、臨床現場に即した状況でゲル状製剤と液状製剤の殺菌効果を比較した検討では、
両剤の殺菌効果に意差はないとの報告もあります。
また、ゲル状製剤を導入した医療機関では、
手洗いの回数が増えたとの報告もあります。
また、アルコール擦式製剤の成分は、
ベンザルコニウム塩化物やクロルヘキシジングルコン酸塩、ポビドンヨードなどの消毒薬が配合されている製剤と、エタノールのみの製剤があります。
一般的に、ベンザルコニウム塩化物などが配合されている製剤は、
消毒効果に持続性が期待できますが、
皮膚に対する刺激性(手荒れ)も
エタノールのみの製剤に比べて強いことが報告されています。
衛生的手洗いは頻回に行う必要があることから、
アルコール擦式製剤は、
使用感や皮膚への刺激性(手荒れ)などを考慮し、
選ぶことが大切です。
衛生的手洗いの方法には、
病院感染対策上、
衛生的手洗いは『一処置一手洗い』など頻回に行い、
また洗い残しのない様に確実に行う必要があるため、
日頃から手洗いの訓練を行うことが大切になります。
アルコール擦式製剤を適量手のひらにとります。
(液状製剤:約 3mL、ゲル状製剤:約 2mL)
指先(爪)に消毒薬をよくすり込みます。
手のひらによくすり込みます。
手の甲にもすり込みます。
指の間にもすり込みます。
親指にもすり込みます。
手首にも十分すり込みます。
消毒薬が乾燥するまで、
よくすり込むのです。
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